鍋講座 vol. 41 「7年目の独立映画鍋 ~日本の独立映画はどう変わってきたのか、どう変わっていくのか~」
「多様な映画を支え育む」と掲げ、NPO法人独立映画鍋が誕生して今年で7年になります。
たかが7年されど7年。7年あれば人も浮気しピカピカの小学生はニキビだらけの中学生に変わります。映画鍋はというと、せっせと開いた鍋講座等のイベントは50以上、会員数は240名を超えました。この間、日本社会も映画界も大きな変化を遂げました。
7年目の今、これまでの歩みとこれから目指す方向性について、共同代表の土屋豊と深田晃司がしっぽりとトークします。「映画鍋という名前の由来は?」などの素朴な質問から、「今後のミッションは?」というグラン・デザインまで語りつつ、来場の皆さんと交流したいと思います。ぜひお集まりください。
■ 日本の独立映画界の変遷を映画鍋の歴史と共に振り返る
■ 映画鍋って何? 素朴な質問に答える
■ ゲスト映画人からのメッセージ
■ 公共の運動体としての今後の映画鍋を一緒に考える
日時 3月6日(水) 19:00開場 19:30~21:30(終了予定)
会場 下北沢アレイホール
東京都世田谷区北沢2-24-8 下北沢アレイビル3F
http://alleyhall.music.coocan.jp/access/
出演
土屋豊:映画監督。1990年頃からビデオアート作品を作り始め、メディア・アクティビズムにも関わるようになる。監督作品『新しい神様』(1999)、『PEEP ”TV” SHOW』(2003)、『タリウム少女の毒殺日記』(2012)ほか、プロデュース作品に『遭難フリーター』、『わたしたちに許された特別な時間の終わり』。ビデオアクト・主宰。独立映画鍋・共同代表。
深田晃司:映画監督。1980年生まれ。映画美学校フィクションコース終了後、劇団青年団の演出部に入団。その後、中長編7本を監督。16年に『淵に立つ』でカンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞を受賞。最新作はオリジナル長編映画『よこがお』。19年夏公開予定。独立映画鍋・共同代表。
料金 一般・独立映画鍋会員 無料
予約不要・先着順
お問い合わせ 特定非営利活動法人 独立映画鍋
070-5664-8490(11:00~18:00) info@eiganabe.net
http://www.eiganabe.net https://www.facebook.com/eiganabe
(参考資料) 独立映画鍋の設立趣旨(2012年7月)
現在、日本映画の現場では極端な二極化が進んでいます。中規模の映画が減少し、興行収入の大半を限られた大手メジャーが占め、インディペンデント映画の低予算化は歯止めが利きません。一方で、知名度の高い漫画・小説の原作映画や、見慣れた有名俳優に依存した映画ばかりがスクリーンに届くアンバランスな状態が続いています。これらははたして私たち映画に携わる人間が本当に望んだ状況でしょうか?
自分の意志を貫こうとするインディペンデント・フィルムメーカーの熱意と、彼ら彼女らの貧困に耐え忍ぶ精神力が、日本の映画が押しやられて行くこの状況をかろうじて食い止めています。しかし、その熱意と精神力にも限界があります。自分の生活、あるいは人生を犠牲にして一本の映画を作り上げるということは、決して美談ではなく、文化の貧困です。映画の多様性を確保する為には、一個人の忍耐力に頼るのではなく、公共的なサポートが必要なのです。
そして、公共的なサポートのより一層の充実が進み、新たな映画製作/上映環境が現実になれば、それはインディペンデント・フィルムメーカーの置かれた苦境を改善するに止まらず、ときに不本意な映画作りを余儀なくされる大手メジャーの現状を変化させるきっかけにもなるでしょう。当然、多様な映画を作り届けることは観客の利益にも繋がります。
私たちは、このような理由からインディペンデント・フィルムメーカーと上映活動に携わる多くの人々、それらを取り巻く環境をサポートするシステムを作りたいと思います。メジャーとインディペンデントの対立的な二元論に陥らず、人、情報、資金を結びつける公共的・持続的なプラットフォームを構築することが、今求められています。
一人一人の多様な価値観を映画という表現媒体で発信すること。そして、その表現をより多くの人が享受できる土壌を整えること。私たちはそのようなことが可能な社会を望みます。映画の多様性の創出とは、世界の多様性に触れられる場を社会に提供することでもあり、ひいてはグローバリズムに対抗する「新しい民主主義」の可能性を広げる公共的な財産であると信じて、私たちはここに「独立映画鍋」を設立します。