【インディペンデントな映画を続けるために!〜戦略共有オープン会議〜】レポート
去る7月28日(日)、いつもの下北沢アレイホールで【インディペンデントな映画を続けるために!〜戦略共有オープン会議〜】が開かれました。独立映画鍋はこれまでの12年間で会員だけが参加する全体会議を7回行ってきましたが、今回は初の試みとして、会員でなくても誰でも参加できるオープンな会議としました。理由は、コロナ禍が明け、リアルな交流の場の重要性を改めて感じ、そういう場をつくることが映画鍋の役割のひとつなのではないかと思ったからです。当日は、約30名の方にご参加頂き、その半数が非会員の方々でした。
今回の会議のテーマは「インディペンデントな映画を続けるために!」で、目標は、インディペンデント映画に関わる人たちが抱える課題を共有し、その課題解決のための戦略をみんなで探る、そして、映画鍋という場でできることを考える、ということでした。勿論、すぐに正解を導き出せるような問題ではありませんが、参加者全員で課題を共有し、ざっくばらんに情報交換する時間を持てたことは、とても有意義で濃密な体験となったのではないかと思います。
会議は3つのステップに分けて進められましたが、【第1部】は事前に行われたアンケート結果の共有とその結果についてのディスカッションでした。アンケート結果を見ると、皆さんが抱えている課題の第1位は、やはり「制作資金調達」で、2位以降は、「劇場公開時の宣伝方法」や「映画祭エントリーテクニック」など、ほぼ同数で様々な課題が挙げられました。ディスカッションでは、「撮影後のポストプロダクションで資金がなくなり、配給・宣伝費が残らない…」という実体験や、「インディペンデント映画の持続可能性を妨げていること、スタックしている場所はどこなのか」という根本的な疑問も示されました。
【第2部】は、各課題毎にグループを分け、より詳細なディスカッションが行われました。
分けたグループは、①「資金調達系」 ②「国内劇場公開系」 ③「海外戦略系」の3つです。1グループ10名以下の少人数に分けたことでディスカッションはより活発になり、議論は白熱、あちこちでどっと笑いが溢れたりしていました。
そして【第3部】は、各グループで話し合われたことが代表者によって報告されました。
以下、内容の一部を箇条書きします。
【海外戦略系】
■海外では資金をしっかり集める、低予算でつくらない
■企画の最初から戦略を立てなければダメ
■企画マーケットやピッチ方法などの情報が足りない
■ピッチングや映画祭でのネットワーキングを学ぶ会を行いたい
■情報や経験談を共有できるようなプラットフォームが欲しい
【国内劇場公開系】
■資金が回収できない→公開後、自主上映、配信などで回収する方法もあるが、かなり厳しい
■『映画鍋が選んだ今月の何本』的な感じで、映画鍋が作品とミニシアターの繋ぎ役になれると良いのでは?
■「自主制作映画版マッチングアプリ」のようなイメージで、映画人が出会えるシステムが欲しい
■今回のオープン会議のような「顔の見える情報交換の場」を、映画鍋で定期的につくりたい
【資金調達系】
■資金は必要だが、その前にリクープラインを十分に検討しなければならない
■観客動員2万人+αで、やっと1500万円回収
■基本的に、全額を補助してくれる助成金はない(AFFは特別)
■成功例として100館で公開できそうな企画が挙げられたが、監督が自腹で約2000万を用意していた…
■某有名監督の制作資金は、監督の知人のIT系会社の社長が出しているらしい
■成功した企画の経緯、戦略を聞き、参考にしたい
箇条書きしただけでは、当日の熱量や情報量の一部しか伝えることができませんが、一人で孤立せず、いろいろ話せたことで前向きな気持ちになれたのは私だけではないはずです。活発な議論は約4時間に及びましたが、当然ながらそれでも時間は足りず、会議後はみんな打ち上げ会場へとなだれ込んで行きました。
(文責:土屋 豊)