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映画美学校共同代表理事の松本正道さんから推薦コメントをいただきました。

映画美学校共同代表理事の松本正道さんから推薦コメントをいただきました。

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 30年ほど前、東ドイツに留学経験のある研究者に、同国の映画状況について質問したことがあったのだが、即座に「映画より演劇のほうが面白い」と言われた。その理由は、映画に比較して演劇のほうが管理されにくく自由度が高いからとのことであった。
 この場合の管理とは、もちろん当時の東ドイツ政権の文化統制を指していたわけだが、今日では、経済のグローバル化が、マーケティングの名のもとに映画を管理し、映画表現の可能性を狭めているのではないだろうか。同時に、デジタル化にともなう映画制作の大衆化も、グローバル化に対抗する自由な多様性に向かうのではなく、逆に均質化を加速させているようにも見える。映画はリュミエール以来、常に美的形式の探究を伴ってきた。それが端整なものであれ、荒々しいものであれ、「美」の追求には、作り手たちの才能や努力はもちろん、それを可能にする経済的基盤が必要である。
 今回立ち上がる「独立映画鍋」が、サポートする側とサポートされる側の新しい関係を創出し、自由度の高い創作環境を整備することによって、真に豊かな多様性を、21世紀の映画史に、つまりは私たちの精神文化にもたらすことを期待している。

松本正道(映画美学校共同代表理事)
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